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約半世紀前の高校生の頃、‘育ち盛り'の吾輩の食事量はすさまじいものだった。朝は食パンなら一斤食べて登校。3時間目終了すると持参の「ドカ弁」が胃袋に消え、正規の昼食時間は「学食」でラーメン。放課後、部活を終えると家まで腹がもたなく学校近くの食堂に駆け込み「おばさん、焼そば大盛りね〜」。当然、夕食は丼もどきの茶碗で数杯―。
栄養価の高い食材がない時代、量でカバーしたと言えばそれまでだが、今改めて思い返しても気持ちが悪くなるほどの食べっぷりだ。しかし、これは吾輩だけでなく部活の「陸上競技部」全員がトラックで競うのと同様に食べあったものだ。
そんな時、Aという格好のいい美人の女先生が赴任してきた。実験用の白衣の前をいつも開けて、にきび面の吾輩たちに‘憧れ先生'はこうのたまわった。 「君達の食事の仕方は、まるで‘飯か餌'だよ。ただアフアフ胃袋に詰め込んでいるだけだもの」反抗期とはいえ‘憧れ先生'に文句も言えず「そんなら、どうすればいいんだょ、先生教えてくれ」。A先生が半世紀前に教えてくれたのが次ぎの食事の摂り方だ。
朝食… 早起きして、決して抜かず「王 様」のようにたくさん摂る
昼食… 仲間と会話を楽しみながら「女王様」のようにゆったり摂る
夕食… 寝る時お腹に何も残らない「貧 民」のように質素に摂る
「先生、それじゃぁ腹いっぱい食えるのは朝だけかよ」―。抗議はしたが、その声は小さかった。‘憧れ先生'はにきび面達にこう解説してくれた。 「朝食は一日の活動の源。しっかりいっぱい摂るんだょ。昼食は折角友達と自由に会話が楽しめる時間なんだからゆったりと摂るんだ。夕食は消化不良にならないように控えめがいいんだ。君達、分かった?」全員が「ハ〜ィ」とこたえました。 (美人は得です)
吾輩は栄養学や生理学などトンと無関心。ただ、‘憧れ先生'だったという一点で、何10年もA先生の言われた言葉を正しいと信じている。
朝、牛乳かコーヒーだけで、家を出る旦那やお子さんはいないだろうか。昼、学友や同僚と食事を共にしながらコミュニケーションを図っているか。高カロリーの食材ばかり食卓に並べ、肥満の原因となる夕食を摂っていないだろうか。
正月明け、妻が夫を、兄が妹を殺害する凄惨な事件がマスコミを賑わせた。どちらも共通するのは‘裕福な家庭'だが、果たして食事はどうだったんだろう?しっかり時間をとり食卓を共にするようなことが無かったのではないかと思えてならない。
「人を良くする」と書く「食」と言う字。今年は特に大事にしたいものだ。オット、とたんに「あなたの晩酌の量は、粗食の域をはるかに超えています」との我がカミサンのお小言が飛んでくるかな?
M@WSのみなさん、今年もよろしく〜。 |
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