■コーチングは質問型コミュニケーション |
コーチングとは一言でいうと質問型のコミュニケーションを使い、相手に取るべき行動を自ら選択してもらうものです。
外部から強制された行動はハッピーではないですが、自ら選択した行動はハッピーです。 同じ行動でもそれに至るプロセスの違いで精神状態や意欲に大きな差が出ます。
この「質問型のコミュニケーションを使い、相手に取るべき行動を自ら選択してもらう」という手法がコーチングと呼ばれます。(正確にはコーチング・スキル) |
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■助言手法としてのコーチング |
「コーチングは自発的行動を促すコミュニケーションの技術です」
また、「対話によるひらめき」を活用して、思い込みを解きほぐしながら相手を支援する手法でもあります。
マンガなどで、ひらめいた時に電球がついた絵が書かれているように、ひらめくというのは自分の潜在意識から答えを取ってくることです。気付きや合点と言い換えることもできます。天才や達人であれば、潜在意識と顕在意識の境界はなく、自由に潜在意識から答えを取って来ることができます。ところが一般人はふつう思い込みでこり固まっていて、自分だけでは潜在意識まで到達できず、顕在意識の中で堂々巡りをしてしまいます。
ところが、話し相手との対話という外的刺激にさらされると、一般人でも思い込みを離れて潜在意識から答えを取ってくることができます。つまり外的刺激によってひらめき、ソリューションが引き出されるのです。 引き出されたソリューションは強制されたソリューションとは全く異なり、本人が積極的に実行します。コーチングがやる気を引き出す、というのはこのことを言っています。
本人はコーチ(上司)と対話を定期的に繰り返しながら、気付き(やる気)を引き出してもらいつつ進捗管理してもらう、という形で支援を受けます。これがコーチングと呼ばれる手法です。気付きとやる気が表裏一体になっているところがコーチングの特色です。
コーチングのアプローチは大きく分けると下記の4点になります。
1.傾聴
↓
2.質問
↓
3.要約
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4.フィードバック( コーチが自分の洞察を伝えること)
※場合によっては、語る過程で自分で気付き、自分で問題解決をしてしまう人もいます。この場合傾聴と質問だけでコーチングが完了することになります。
コーチングには「3つの哲学」と呼ばれる原則論があります。
1 人は皆、驚くべき可能性を持っている。
2 その人が必要とする答えは、その人の中にある。
3 パートナー(コーチ)がいた方がその答えを早く確実に見つけることができる。
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■ビジネスコーチング |
ビジネスコーチングでは命令したり、『答えを与える』のではなく、相手が自ら『答えを見つけられる』ようにサポートし、相手に問いを投げかけるという、質問型のコミュニケーションによって『自分で考え、自分で動ける』自立・自律型の人材を育てることを目的とします。上司が答えがわかっていてもあえて質問していくわけです。 コーチングを用いることによって、職場は活性化すると同時に、構成員全員がストレスなしに気持ちよく働けるようになります。コーチングをバランスよく取り入れることがこれからのマネジメントと言えます。
● コーチングは支援リーダーシップ
上司が部下に対して、「うまく言いくるめて、思うように動かしてやろう」という、 「引っぱる」発想を捨てる必要があります。「引っぱる」リーダーシップを取るかぎり、『自分で考え、自分で動ける』自立・自律型の人材を育てることはできません。
上司と部下は対等なパートナーであり、ともに協力してベストのやり方を探し当て、あとは部下を信頼して任せる、結果報告だけを受ける、というスタイルを取る必要があります。ともに協力してベストのやり方を探し当てるといった創造のプロセスを経て、始めて部下はやる気を出すのです。
職場でコーチングが根付くためには、「上司風を吹かせる、上司面をする」という上下関係のパラダイムを取り去ることが不可欠です。上下関係のパラダイムを温存したままコーチングのまねごとをすると、話が説教になりやすくなります。この場合部下に感情的なしこりを残し、コーチングの大前提である信頼関係を築くことはできません。命令と統制の職場環境では社員は、往々にして受け身となり、自分の考えを持つことなく、単に言われたとおりやろうと必死になります。上司の指示が的確であれば、その場では当面うまくいきます。こういった職場では、社員の自発性は期待できないため、通常人間関係も「相手をコントロールしよう」といった関わり方で、ストレスの多い不愉快なものになります。
しかし、現在では経営のパラダイムが“生産指向”から“顧客指向”に転換したことにより、以前の成功体験が通用せず、上司が的確な指示を出せないうえに、部下も自発的に動かず、会社の機能が破綻するケースが出てきています。
コーチングは命令したり、『答えを与える』のではなく、相手が自ら『答えを見つけられる』ようにサポートし、相手に問いを投げかけるという、質問型のコミュニケーションによって『自分で考え、自分で動ける』自立・自律型の人材を育てることを目的とします。
命令と統制の対極にある質問型コミュニケーションは エンパワーメントと総称されます。質問するのは、上司が答えがわからないからではなく、部下から能力を引き出すために行うものです。 |
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